新米ゲームPの白箱

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うせもの宿 感想 本当に面白かった。素晴らしい世界観!(後半ネタバレ有り)

 

 うせもの宿がめちゃくちゃ面白い

 

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 つい先日、かねてから気になっていた漫画「うせもの宿」作/穂積 を購入しました。金欠で気になっていたのにずっと買えず、本屋の一話立ち読みで一か月も我慢してきましたがようやく読めました。

 結論から言いますと、本当に面白かったです!!!

 漫画の世界観が、雰囲気が素晴らしい!淡く儚げなが画風が浮世離れしたような世界観を創り上げていて、もうドップリ浸かれます。頭のてっぺんまでドップリです。

 表紙から漂ってくるものがありますよね。なんだか蟲師を彷彿とさせました。

 どんな話かといいますと(まだネタバレはないです)、少女のような女将がいる古い宿、ここにはある噂があります。それは、案内人に連れられてこの宿を訪れた客は失くしたものが必ず見つかる、というものです。(巻末から拝借。笑)

 どうですか?もうこれだけで読みたくなってきませんか?

 作中では老若男女問わず様々な人たちがそれぞれ自分の「失せ物」を求めてやってきます。不思議な力?で見つかる失せ物。それにはちょっとした理由があるようですね。一体それはなんなのか?

 知りたい方はこの先のネタばれを読んでしまうか、購入して実際に読んでみるか、です。個人的には購入をオススメします。脳内会議圧倒的多数で、自分で読んで楽しむことを推奨します。笑

 それでは、ネタバレが嫌な方はここで。ブラウザバックでお戻りください。

 もう読んだ!または、いやぁべつに構わんよ。という方はあと少しお付き合い下さい。ここからはただの私の感想みたいなものですが。

 

 

 

 

 

 

 

 ネタバレ注意 うせもの宿

 なるほど、「うせもの宿」ね。と思いましたね。

 「うせもの」が平仮名である理由がそれだったとは。

 

 最初のサラリーマンの話では全く気づきませんでした。失くした指輪を見つけて、奥さんとの日々を省みる。もっと一緒にいてあげればよかったとの後悔とこれからはもっと仕事に縛られない自由な生活を送ろうという気持ち、そして「うせもの」である指輪。これらとともに去っていきました。

 次の少年はねこのぬいぐるみと母との思い出、別離の悲しみ。

 ここで少し頭に引っかかるものがありました。少年の表情や、前話のサラリーマンの最後、そして女将さんの表情。あれ、うせものって...?

 

 そして3話目の登山家のお父さんの話。ここで明らかになりましたね。

 「うせもの宿」とは、「失せ者」が「失せ物」を求めてやってくる宿だったんです。でも、この段階で疑問でした。なぜ「失せ物」を求めるのか?思い出を思い出してから逝きたいからか?なんて考えていました。

 

 この考えは当たり半分外れ半分でしたね。

 

 登山家のお父さんはお守りを忘れていました。持っていれば死ななかったかもしれない。家族の思い出がこもったお守りを見つけたかったのだと思いました。

 次の学校の先生が言った「この宿は持っていきたいものが見つかる宿なのね...」という言葉。ここで、あぁ思い出だけではなくその物自体も大事なのかと気づきました。物には思いが宿る、と言いますよね。思い出だけでは足りない、物だけでもそう。両方がある大切な「失せ物」だからこそ探し、死後の世界への旅のお供として持っていきたいのだと思いました。

 

 この感想を持って、最後のヤンチャな母親の話を読んだので、本気で泣いてしまいましたね。彼女にとっての「失せ物」それは、土地の権利書なんかではありませんでした。土地の権利書と彼氏への愛とも呼べるかどうか分からない恋情、これらを失せ物だと思っていた彼女は驚愕し悲しみます。

 彼女にとっての「うせもの」、それは自分の息子でしたから。

 交通事故でもう死んでしまった自分と、生死の境を彷徨っている息子。できることなら連れて一緒に逝きたかったでしょう。ですが、生死の境目である鳥居の前で、彼女は息子を突き放します。持っていくのは「想い出」だけで充分だと言い残し、去っていきました。

 「失せ物」と「想い出」。これらは抱き合わせでした。しかし、最愛の息子の身を案じ「想い出」だけを連れて逝ったところにはとても感動しました。

 

 最後に宿の従業員は皆「失せ者」であると判明しましたね。ということは、女将さんもまた「失せ者」である、と。

 はたして、宿の人々はどんな理由でそこにいるんでしょうか?

 私、気になります!!!

 

 うせもの宿、本当に次の巻が楽しみです。