新米ゲームPの白箱

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SHIROBAKO9話 「何を伝えたかったんだと思う?」感想や考察。

 チームが同じ方向を見据えることは大切なんだなぁ

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 SHIROBAKO9話が放映されましたね。今週もきっちり綺麗に終わって(監督の話は)面白かったです。しかし、まさか監督がまたプッシュされる回だとは。

 SHIROBAKO8話の次回予告からみーちゃん回かと思っていましたが、みーちゃんの問題提示と木下監督の問題提示&解決、という構成でしたね。

 今回は二人に共通した悩み、問題に焦点が当てられていたように思います。

 箇条書きで上げてみると

 ・本当にたどり着きたいゴールが漠然としていて現在の作業に身が入らないこと

 ・チームが同じ方向を向いていないこと

 ・キャッチボールが出来ていなかったこと

といった点でしょうか。この三点を中心に色々感想や考察を書き連ねていこうと思います。

 

 やっぱり大切なゴール設定

 SHUROBAKOを観ているとゴール設定の大切さをつくづく思い知らされます。厳しい期限が決められていて、何かを産みだすという仕事において、クオリティと期限は天秤にかけざるを得ない項目です。しかし、どちらもないがしろにしていいわけではなく、どちらも最大に考慮した落としどころが必要です。

 期限と質、両方ベストな落としどころを見つけるためにもゴール設定が必要だと思います。ゴール設定の大切さについては、以前のSHIROBAKO8話の考察に書いているので、読んでみて下さい。

 

SHIROBAKO8話 感想とか考察。タローと宮森から見るゴール設定の大切さ - ラブライバーの世界線

 

 

 さて、ではみーちゃんと木下監督に当てはめるとどうなるのか?

 みーちゃん:アニ研の5人で七福神を作るというゴール設定。

      →しかし、これはあくまで5人各々が達成すべき個人のゴールが満たされなけばいけない。ならば、みーちゃん自身が達成すべきゴール地点は?

 木下監督:えくそだす!最終話クライマックス。以前シナリオのときに決めたゴール設定はある。

     →しかし、進めていくにつれそのゴールが違うと実感した。ならば、新たなゴール設定が必要では?

 

 みーちゃんは、CGクリエイターとしてのゴール地点が、木下監督はえくそだす!最終話の新たなゴール地点が見つかっていない状況です。

 木下監督は、これまでの経験やえくそだす!も12話までの絵コンテは済んでいることを考えると、あとは周りとの視点の一致(後で述べます)で一気に期限と質は満たせる気がします。監督とはいえ、作品は一人で創るものではありませんから。

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 しかし、問題はみーちゃんですね。CGクリエイターとして働き出してまだ半年。ゴール設定をしなければ、時間の流れに飲み込まれてしまうだけでしょう。これから先、何年も車のCGを作り続ける未来しか見えないと言っていましたが、自分の目指すべきゴールが明確になっていないため、現状を享受し現在地点から先の展望を推測しているに過ぎません。そんなものはゴールでも何でもないのです。今の仕事に価値を見い出せないでいるのも、このためだと思います。

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 このままでは、3年、5年も車の内装や外装をやり続けている先輩達の後ろをついていくだけになってしまいます。(彼らには信念があるのかもしれませんが)

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 この問題を解消するために必要なこと、それは、

 みーちゃん:会社がどういう方向を向いているのかを理解し、まずは自分のゴール地点をその目標地点に沿わせるよう仮設定してみる

 木下監督:自分の持つ、持っていた目線がチームに浸透しているのか。チームが同じ方向を向いているのかを確認し、ゴール地点を仮設定し直す。

ということが必要だと思います。

 

 バラバラな視点ではチームはゴールへ到達できない

 みーちゃんは、幸いにも屋上で社長と話す機会が得られました。社長、まさに会社の向かう方向を見据えている人物ですよね。

 その社長が、ハッキリと「わが社は車でいく。」と明言しているわけです。レーシングゲームやカーアクションゲーム、またはCGサンプルなど色々な幅はあるでしょうが、軸は「車」です。ならば、「社員」としてのみーちゃんのゴール地点は「車のCGクリエイター」になるわけです。

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 しかし、一人の「藤堂美沙というCGクリエイター」としてのゴール設定はどうでしょうか?別に車は関係ありませんよね。

 社長は「何をやるにしてもこの先の自分が具体的に思い描けないと始まらないだろ?」と言いました。この言葉は、アニメ制作を目標とするCGクリエイターのみーちゃんへの激励のメッセージだと思います。社長は車が好きで、車という点に特化したCGの会社を立ち上げました。なら、みーちゃんは何をすべきなんでしょうか?

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 一方、木下監督はと言えば。

 「俺はこの作品で何を伝えたかったんだと思う?」と本田さんに投げかけました。

 その返答が、「しらねーよ!」。これはまずいですよね。クリエイターと制作進行の視点が一致していないことの裏付けになっているんですから。

 クリエイターが視点を見失ったら、進行を管理しコントロールする人間が道を示し直さなければいけないと思います。しかし、その制作進行もわからないとなればどうしようもないですよね。万策尽きたぁ~!を自ら引き出したわけですよ。笑

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 必要だったことは?それは、後にシナリオライターの舞茸しめじさんが言った「キャッチボール」だったんだと思います。

 

 キャッチボールで視点を揃え、共通のゴールへと突き進む!

 「キャッチボール」。つまりは、意見交換や認識の共有ですよね。

 それが上手くいっていなければ、チームはバラバラ。目指す場所もバラバラ。できっこないですよ。笑

 

 みーちゃんは、社長とのキャッチボールが意見交換と認識の共有になりますね。ずかちゃんとりーちゃんとのキャッチボールは、意見交換や心情の吐露です。これも大事なことでしょう。

 現状の葛藤や見えてしまった先の車を創り続ける自分の姿。本当に5人でアニメを創ることが出来るのか、自分はどうなるのか。それはきっと次週で語られることとなるでしょう。

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 木下監督は、シナリオライターの舞茸さんとキャッチボールをする機会を得ました。監督が以前見据えていた視点を理解している人物とのコンタクト、これにより本田さんも木下監督も視点を共有し、また新しく作り出したゴール地点を一致させることができました。

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 この舞茸さん、めっちゃくちゃ凄かったですね!!!カウンセラーのように監督の目指す方向や、やりたいこと、そして「どんなときも人を信じる」という作品に込められた想いまで引き出してしまいました。

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 「僕はキャッチボールをしにきただけですから」。目指すべき場所や視点をきちんと理解している人間が、キャッチボールを通しチームの視点を揃え、共通のゴールに向かって同じ方向を向かせる。この流れがとても大事なんだなぁと思いました。

 

 新しく作られたクライマックス。担当を任されているみゃーもりや絵麻はまた困難にぶち当たることでしょう。頑張って乗り越えてほしい!

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 「どんなときも人を信じる」。このテーマは、SHIROBAKOのテーマでもあるんじゃないでしょうか。

 アニメ制作を通して生まれてくる成果物としてはアニメという「物」です。しかし、成果物が出来上がるまでに至る工程では、全て人対人のやりとりですよね。チームとして仕上げていくには、「人を信じて」やっていくしかないんです。

 どれだけ締切が近づいてきて切羽詰まろうとも「どんなときも人を信じる」ことが大切で、その信頼関係や人間関係があるからこそ素晴らしいアニメが生まれているんだと思います。

 

 

 来週はどうなるのか、とても楽しみです!