新米ゲームPの白箱

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ゲーム会社のインターンを経て僕が思ったこと。(ゲーム企画ワーク編)[後編]

 ユーザーのニーズとクリエイターの届けたいこと

 前回では初日〜三日目までのワーク内容についてお話させていただきました。

ゲーム会社のインターンを経て私が思ったこと。(ゲーム企画ワーク編)[前編] - ラブライバーの世界線

 

 これと、間に挟んだエグゼクティブからのお話を絡めて読んでいただけると、今回の内容も入りやすいかと思います。

ゲーム会社のインターンを経て僕が思ったこと。(ゲーム業界編その1) - ラブライバーの世界線

 

 

ゲーム会社のインターンを経て僕が思ったこと。(スマホゲーム・ゲーム業界編その2) - ラブライバーの世界線

 

 

 それでは、四日目、最終日の内容についてお話していきます。

インターン四日目 -再始動。コンセプトとユーザーのニーズを軸に-

インターン最終日 -ユーザーのニーズとクリエイターのこだわりの合致点を求めて-

・まとめ -やっぱりゲームっていいものだ-

 

 

 インターン四日目 -再始動。コンセプトとユーザーのニーズを軸に-

 インターン四日目。この日は三日目に受けたダメ出しを元にブラッシュアップしていこう、と思っていたのですが...

 

 まさかの、「0から作り直したい」で全員満場一致でした。

 コンセプトを削ってしまうと、ゲーム要素も削らなければいけない。どこをどう削るかに悩み煮詰まってしまったため、もういっそ創り直そうじゃないか!という結論に至ったというわけです。笑

 

 

 方針が決まればスピードは凄まじいこのチーム。どんどんアイデアが飛び出してきます。

 しかし、ふと思いました。これじゃ二の舞じゃないか?

 

・面白い事を盛り込みすぎてコンセプトがわからない。

・ユーザー目線でもっと考える必要がある。

 

 ダメだしは、「ロジックが崩壊しているぞ」「このゲームは売るのが怖い。売れないぞ。」ということを示していたはず。

 にもかかわらず、またクリエイターの、ゲーマーが開発者に回った場合の面白さを詰め込んでいる。

 

 

 このインターンはマーケティング面を重視するもの。ならば、本質は面白いゲームを「売る」ことのはず。面白そうなゲームを企画しても、面白いシステムなどはクリエイターと詰めていく物ではないか?

 そう考え、「売れそうなゲーム」を企画していくことにしました。「売れそうなゲーム」、「ユーザーのニーズ」を満たす事を第一条件にし、「面白そうなゲーム」、「ユーザーのウォンツ(潜在ニーズ?)」はあくまで「ユーザーのニーズ」を補助する考えとして付随させる事にしました。

 

 

 ロジックをしっかり組んで売れるゲームを創る。ならば、最初にしなければならないことは?

 

 やはり、ゴール設定だろう。と考えました。

 

 今回はゲーム企画という事で、ユーザーがゲームをプレイして課金するという所に説呈しました。数字を出さなかったところは失敗だったかなぁ、と思いますね。

 

 ターゲットのペルソナを作成し、そのペルソナのニーズと裏付けとなるデータを洗い出してロジックを固める。そしてコンセプトとニーズからゲーム案を作成、課金システムや課金する為のサイクル(通称課金導線)まで作成し、収益を出す為のサイクルを構築し、さらに広告戦略やこれからの展望も盛り込む。

 これら全てをコンセプトとペルソナのニーズを軸としたロジックに落とし込みました。

 もちろん、私たちがやりたかったシステムなども盛り込みましたよ!企画して楽しくないと面白くて売れるゲームになる訳ありませんからね!

 

 それでは、具体的にはどんなコンセプト、ペルソナにしたのかをお話したいのですが、軽く触れるくらいにさせていただきます。一応知的財産なので!笑

 

 まずはコンセプト。

 ・作って、発信して、満足。

 本当はもっとキャッチーなフレーズなんですけど、噛み砕いていえばこんな感じですかね。自分で創作物を創り、それをスマホの力を使って発信、そして創作物を他のユーザーに評価してもらって自己顕示欲や承認欲を満たさせる、という狙いを持たせました。

 

 なら、なぜここをコンセプトにしたのか?

 それが、このペルソナ分析。

 

 ペルソナ 30代男性

 ・創作意欲が有る

 ・ある程度趣味にお金が使える経済的余裕

 ・自己顕示欲や承認欲が強い(出世志向が高い)

 ・論理的思考が強い(ロジカル人間)

 ・ライトな趣味が欲しい(仕事が大変なお年頃)

 

 つまるところ、このペルソナは重課金者。重課金者をターゲットとして収益を上げる事を第一に考えたゲームを企画しました。

 これらのペルソナのニーズを満たすものとして、上記のコンセプトを与え、さらにプラットフォームをスマホとし課金システムを搭載。各々の満足度にあった対価を支払う「一物多価」を採用する事で、ライトユーザーとヘビーユーザーの棲み分けを狙いました。

 

 それでは、重課金者向けの内容とは。

 

 ゲーム内容は教えられません!いつか作ってみようかな...と思っているので。

 抽象的に言えば、コンセプトの通りです。

 創作物を創り、発信し、ユーザーに評価してもらう。ランキング制などを搭載し、承認欲や自己顕示欲を満たす。

 課金として、創作物を創る為のバリエーションやインターン先の企業とのコラボ素材などを盛り込み、ただ強い、凄い創作物でなく、オリジナリティや好きなゲームの世界観も再現できる、といった感じです。

 これだけだと訳が分からないかも知れませんね。笑

 

 

 そして、ライトユーザー向けの要素。

 こちらは、「手軽さ」をとことん意識したものにしました。

 電車の移動時間などにプレイできるよう、1ステージを山手線1駅分の約2〜3分に設定。ちょっとの隙間時間も楽しんでもらえるものにしました。また、プレイする内容は他プレイヤーが創作した創作物。こうすることで、新しく、そして強いソーシャル感を与える事を実現しました。

 こちらの課金システムは、アイテムやスタミナといったところですね。ランキング制は採用しているので、人によっては割とやり込むのでは?

 

 最後に、マーケティング面。

 こちらには、

・SWOT,クロスSWOT分析

・マトリクス分析

・ペルソナ分析

・3C

などを施して、割とガチガチにロジックを固めましたね。ゲーム内容もニーズを満たし、収益を上げる為のとにかく「売れる」ゲームを狙っていたので、収益性を上げる為のマーケティング分析は本気でやりました。

 

 広告は従来のマスメディアに加えて、ニコ生やYouTubeを利用。

 特にニコ生はリアルタイム対戦などを盛り込んで火をつけようという狙いがありました。ユーザー層に20代がとても多いというデータがあったので。

 

 また展望としては、脱出ゲームのような現実世界での展開を視野に入れています。創作物を現実世界で再現、プレイヤー側とクリエイター側の知恵比べのような物にする、という計画で、簡単に言えば現実世界でゲームの内容をやっちゃおう!って寸法です。

 ゲームと現実の世界をリンクするってすてきじゃないですか?笑

 

 これらの内容を踏まえたのが私たちが作成したゲームです。

 

 かなりロジックを詰めて作り込んだこの作品。

 私たちがやりたい要素はある程度我慢して、とにかく「ユーザーのニーズ」を満たし、「重課金者」を狙い、爆発的な売り上げではなく堅実に確実な黒字、「収益」を上げることを狙いにしました。

 

 果たして、最終プレゼンではどういった結果になるんでしょうか!?

 

 

 インターン最終日 -ユーザーのニーズとクリエイターのこだわりの合致点を求めて-

 迎えたインターン最終日。

 いよいよラストプレゼンです。

 

 他6チームと最優秀賞を競い合います。

 

 どのチームもかなり完成度が高くてびっくりしました。

 新規性があるところはさすがに少なかったですね。ただ熱意や楽しさはもの凄く伝わってくる物が多くて、見ていてワクワクしました。

 ただ、どのチームも私たちのチームほどマーケティング方面をしっかりと練って、ロジックが構成されている組はありませんでした。

 

 これは...もろたで!工藤ッ!!!

 

 

 私たちの最終プレゼン。なかなか好評でした。

 そうなんですよね、好評ではあったんですが。審査員のプロデューサーの方々にそこまで響いていないようでした。

 

 

 「情熱が伝わってこんな」

 

 この言葉が全てでした。

 

 「君ら、このゲームにどんだけ愛着持ててる?君らが面白いと思ったこと、やれてる?売る力と面白さのバランスが悪いんよ。」

 

 前回、中間発表のとき。

 「面白いと思う事を詰め込みすぎてコンセプトがぶれてる」

 と言われ、コンセプトとペルソナからロジックを組んで作り上げました。

 

 しかし、今度はロジックを組みすぎました。

 ガッチガチのロジックの枠組みに囚われたこのゲームは、ゲームらしさがありませんでした。最高に楽しい人生の暇つぶし、それがゲームだと思っていたのに、このゲームはニーズやロジックなどにこだわりすぎて不自由でつまらないものになってしまったんです。

 

 私たち自身も、もっと面白い物を創りたかった。もっともっと斬新さや新規性をたくさん盛り込んだものを創りたかった。と思っていただけに図星をつかれた気分でした。

 

 

 結果は二位。

 

 

 最優秀チームとの違いは、「ゲームへの情熱」や「楽しんで貰い、自分たちも楽しんでいるか」など。マーケティング面ではどのチームよりも優れていた、と言っていただきましたが、ゲームとして大切な部分がもっと欲しかった、と言われました。

 

 

 ゲーム創りに大切なもの。それが何となく見えた気がしました。

 

 

 まとめ -やっぱりゲームっていいものだ- 

 ゲーム企画に大切なこと。

 それは、「ユーザーのニーズに応えるプロデューサーとしての側面」と「自分たちが楽しいと思う、クリエイターが情熱を持って取り組めるディレクターとしての側面」双方からの合致点を模索し、その合致点にハマったゲームを創り出す事、だと思いました。

 

 マーケティング面だけでは圧倒的に面白さが足りず、クリエイター面だけでは独りよがりでユーザーが置いてけぼりなゲームになってしまう。

 この双方のバランスを満たす事がとても大事で、本当にめちゃくちゃ大変なんだ、ということを学びました。

 

 そして一番学んだことは、ゲーム創りがめちゃくちゃ楽しいということ。

 ダメだしを食らいまくったり、アイデアが煮詰まったり、合致点が見いだせずに迷走したりときつい事もかなりありました。しかし、何よりもめちゃくちゃ楽しかったです。

 何ていうか本当にもうめちゃくちゃ楽しかったです!!!!!

 楽しかったです!!!!!

 

 

 インターン全てを通してのまとめは後日の総まとめで書かせていただこうと思います。

 

 

 何よりも言いたい事は、

 

 ゲームってやっぱりいいものだ!!!